Dorokawa hot spring
奈良というと観光スポットという印象が強く、あえて訪れるということがこれまでなかった。だが、初めて観た東大寺の迫力はエキサイティング、早朝の二月堂に参る人の後姿には古と変わらぬ信仰を感じた。山里の古墳を眺めながら歩いた山の辺の道は最古の街道だという。今更ながら見に来て良かった。まだ見たいところは沢山有ったが、時間が無いので仕方ない。翌日は中上健司の小説の舞台、和歌山の新宮を訪れたかった。和歌山との県境に近い洞川温泉にとった宿に向かう頃には日が落ちていた。ナビどおりに車を走らせながら本当にそんな宿がこんなところにあるのか、不安になる程暗く山深いところへ導かれて、突然現れた温泉街に驚いた。熊野から吉野にかけての山を霊場とする修験者が昔から宿泊したという。11月の半ば、気温は氷点下だった。