道を歩かない人

縄文展を見に東京国立博物館に行った。門が閉まっていた。休館日だった。電車を乗り継いで一時間半かかった。汗が流れていた。なぜ確認して来なかったんだ。

予備プランの河井寛次郎展に行く前に、京橋の路地にある金子老師の仕事場を訪ねた。知り合った頃はご隠居さんと呼んでいたが、この頃は老師と呼んでいる、ひそかに。小ぢんまりとした部屋に椅子を並べて、老師の話を聞いた。色んな本を見せてもらった。

 

河井寛次郎は言葉にも優れた人であったようだ。美術館のショップにあった随筆を買い、

帰りの電車の中で開いた。

「 道を歩かない人、歩いたあとが道になる人。」

という一文があった。楽しい一日だったと思い返しながら帰った。